沖縄本島に行っておりました。
沖縄では色々な事が勉強になりました。
自然環境が良かったのには感激でしたが、
地元の沿岸漁業の組合の方とのお話しでは、漁業も観光漁業に変化していて環境の実態は悪化し始めているとの事。
区域によっては埋め立ての為の大胆な山の土堀(森林破壊)、沿岸域におけるンクリートによる堤防や道路作りや街づくりが相変わらず盛んなのだそうです。
サンゴ礁においては必要不可欠な藻場が大きく減少しているそうです。それで藻の種が今必要なのだそうですが不足していて集まらないとの事。
さらに、自然環境の悪化(海水温の上昇や人間社会の都会病が原因)もあって、サンゴ礁も悪い方向に向かい始めているのが実態、との事。
ある例としてアマモを餌としてきた大型の動物ジュゴン(沖縄語でザン)の姿がアマモと共に姿を消しているそうです。
沖縄博物館の高里様が次の歌を詠まれ泣いておられました。
ザン泪(なみだ)
外の土石に
甘藻(あまも)消ゆ
観光客の身体に塗る日焼け止め薬の原材料(化学薬品など)も観光客の増員が重なって海水の汚染の原因の一つになっているそうです。
空の色も以前と比べると暗くなっている場所もあって
時によっては星空が見えない日も有るとの事。
当然のことながら、沿岸の魚介類の稚魚の衰退も見られる、との事。
三陸の堤防程ではありませんが、盛んに堤防をコンクリートで造るようになっているとの事。
生命を大切にする自然由来の循環型環境作りを基礎基本とした政治が行われない限り
悪化は続きますね。
次世代にバトンタッチできる生命優先のバトンがなくなります。
以上、石井理事からのご報告です。
5月24日、衆議院会館第二議員会館における
国連小農宣言・家族農業10年連絡会事務局 主催の
フォーラムに参加しました。
講演者はインドネシアから来日の農民組合長や韓国から来日の女性農民会の国際調整委員他の外国人3名と通訳3名、そして、外務省からは3名、農林水産省からは7名、日本側からは日本国際ボランティアセンターや明治学院大学の舩田クラーセンさやか氏、他大勢。
フォーラムはまず、「国連小農宣言」と「家族農業10年」についての概略の説明の後、なぜ日本の外務省や農林水産省のテンポが遅いのか!というレベルでの議論の交わし合いに進捗していきました。
やりとりの言葉は丁寧でしたが、「行政がいかに素人であるか!」が明白になるやり取りも多々ありました。
行政側の現状説明と「納得できない!」という解釈での行政側との議論も激しく交わされました。
新聞社は朝日新聞他の数社だけでした。
今後について感じた事は以下を明快にして賛同者を増やす事だと思いました。
それは基礎基本なので、行政と一般人を含めた考え方の共有が不可欠だからです。
即ち、
「小農」とは何か?(小農とは必ずしも小規模農業ではない、とのこと)、「小農と家族農業」は同じなのか、違うのか、を明白にする事。「家族経営と家族農業」とは同じなのか、違うのか、を明白にする事。
以上については主催者側と外務省や農水省との間でやりとりが一番激しかったです。
これは水産業界においても言えることなのかもしれません。
以上、石井久夫さん(21世紀の水産を考える会理事)からのご報告です。
21世紀の水産を考える会として、昨年に続き第2回目の「クジラ料理の会」を開催しました。
今回は特に、一般的な赤肉と黒皮を使った料理のほかに、心臓、ウネ須(腹皮)、サエズリ(舌)、百ヒロ(小腸)などの試食もしました。
今年7月からの商業捕鯨の再開や、クジラ肉についての興味深い話など、〝クジラ一頭をまるごと無駄なく利用してきた〟日本の食文化を満喫できた1日でした。
次回の料理教室は6月30日(日)、イワシの予定です。
幕張で開催された食関連スーパーマーケットシヨーなどの4会場の展示会をたまたま見てきました。
そこでは、北海道から九州、沖縄までの各都道府県の生産者の方々が沢山出展されておりました。
その帰り、たまたまご縁のある方に誘われて食事会を兼ねたパーティーに夕方から参加できました。それは会場近くのホテル・ニューオータニで行われた「全国スーパーマーケット協会主催」の「アメリカを食べる」という「アメリカの食(農畜水)を紹介する食事会」のパーティーでした。
アメリカ大使館の関係者や量販店最大手の社長様や重役さんやバイヤー様たちが集い、全国スーパーマーケット協会の会長様の熱いご挨拶から始まり、乾杯の御発声はアメリカ大使館の方でした。
TPPを離脱した米国は日本へ「農作物や畜産物を今まで以上に沢山輸入せよ」と強く要請しております。
懇親会を見ていて、TAGを見据えた「グローバル企業の前哨戦」がいよいよ始まったと感じました。
*石井理事からのメールを若干、手直しして掲載しました。
昨年はクロマグロのTAC開始や漁業法の改訂、対外的には日欧EPAの署名やTPP11の発効など、水産業の将来を揺るがす様々な出来事がありました。
一方、今年は国連の「家族農業の10年」(漁業も含む)のスタートや約30年ぶりの商業捕鯨の再開など、沿岸地域にとって希望の持てるニュースもあります。
21世紀の水産を考える会では、会員の皆さまをはじめ他団体と連携し、国民目線の水産業を展望していきます。本年も何卒、よろしくお願い申し上げます。
*写真について
横浜の初日の出はベイブリッジから昇ります。
今年は雲が厚く心配しましたが、一瞬、力強い太陽
が顔を見せました。水産界を象徴しているように感じてしまいました。
私たち21世紀の水産を考える会が魚料理の会を始めて今年で9年目になります。“旬の魚を丸ごと調理して食べよう“を合言葉にブリ、イワシ、サンマ、サケなどを季節に合わせて開催してきました。今年はクジラにも挑戦しました。
ここ数年は、目黒区の緑が丘文化会館の調理室をつかって、子どもたちも含めて30名を超える参加で行っておりましたが、今回は会場が工事で使えなくなったため、栗原さん(21世紀の水産を考える会の役員)のご自宅をお借りしてのサケ料理になりました。講師は吉崎清さん(元.本州鮭鱒増殖振興会専務理事)、協賛として標津漁業協同組合から「船上一本〆」という美味しいブランド鮭を送っていただきました。
11月11日は鮭の日です。「鮭」という字のつくりの部分が「十 一 十 一」という見えることやちょうど秋鮭の旬の時期、「おいしい鮭をみんなで食べよう!」ということで制定されたようです。
今回は、鮭の腹からとりだした筋子を丁寧にイクラにして鮭フレークとあわせて親子丼、鮭のフライタルタルソースかけ、石狩鍋、チャンチャン焼き、鮭とシイタケの焼き漬け、塩焼きなど、それに定番のクレープのデザートも付いて、25個の松花堂弁当箱に入り切れないほどの鮭づくし。
子供たちはおもに鮭のフレークづくりを担当しました。3歳の女の子は自分で作ったフレークのかかった親子丼を「美味しい!」とたいらげました。盛況の様子は写真のとおりです。
次回は、緑が丘文化会館の工事終了後の来年の4月「クジラ料理」を予定しています。
(一社)鯨類研究所は、11月1日、マリナーズコート東京(晴海)において、北西太平洋の調査捕鯨の副産物(鯨肉)の品見会を開催しました。北西太平洋とは、三陸や道東のずっと沖合の公海域のことで、5月17日に出港後、ミンククジラ43頭とイワシクジラ134頭を捕獲し、8月22日に帰港しました。
先般、このイワシクジラの鯨肉としての流通が、絶滅の恐れがある野生動植物の商業取引を規制するワシントン条約に違反していると認定され、日本は翌年の2月までにその是正措置の報告を迫られています。通常、日本籍の船が漁獲したものは国産品であって、貿易行為になるとは思えませんが、同条約では、公海で捕獲した場合は「海から持ち込み」として、貿易行為と同等とみなされるようです。
実はこの問題、今年5月15日の参議院農水委員会において、心配する徳永エリ議員(国民民主党)からの質問に対して、谷合農水副大臣(当時)が「捕獲は科学目的であって、条約上の違反行為に当たらない」と答弁した件です。2014年の国際司法裁判所での敗訴の時と同様、捕鯨問題に関して、いまさらながら政府の危機感の甘さに疑問を禁じ得ません。
ところで、今回の調査で興味深いのは、胃の内容物調査において、イワシクジラがイワシを多く食べていると報告されていることです。もともとイワシといっしょに泳ぎ、イワシを食べているからイワシクジラと命名されたと言われていますが、昨今のイワシ資源の回復を裏付けているようにも感じられます。
衆議院議員会館会議室において、JCFU全国沿岸漁民連絡協議会による全国沿岸釣り・はえなわ連合会の代表者会議が開催されました。
まず中塚周哉氏(国際水産資源研究所)による「平成30年度太平洋クロマグロの資源評価結果について」と題した丁寧な講義のあと、北海道から沖縄まで、全国から集まった沿岸マグロ漁業者から漁業現場の意見が出され、水産庁に対する要望書としてまとめられました。
また水産庁が発表した水産改革案についても、漁業現場への丁寧な説明を求める旨の要望を出すことを確認しました。
翌23日に水産庁へ行き、担当官に要望書を渡し、水産庁と約2時間にわたる話し合いが行われました。同席した21世紀の水産を考える会の石井理事は、「水産庁は残念ながら、大手企業の意見や考え方を優先し、日本の水産業のあり方や国民ひとり一人の将来のことを考えていないように感じられた」と感想を述べています。
翌24日には臨時国会が始まり、安倍首相は所信表明演説の中で「70年ぶりに水産業界を変革します」と発言しました。短期間のうちに、日本の水産業にとって重大な転換が、関係者の多くが知らない中で強行されようとしています。水産関係者が結束し、一丸となって悪法成立を阻止すべく訴えましょう。
【水産庁への要望書】
全国水産・海洋高等学校OB校長会の総会がホテル・ナビオス横浜で開催されました。
21世紀の水産を考える会から事務局の川島が出席し、「沿岸漁業と水産物流通」と題して話題提供を行ないました。食事をいただきながらの歓談では、教育現場の実情を知ることができ、とりわけ全国水産高校対抗のカッターレースの話は大いに盛り上がりました。
事務局では、今回の参加を教育や後継者問題にかかわるきっかけにできればと考えております。
「築地市場まだあと100年!私たちの市場を守ろう!」の横断幕を掲げた、築地女将さん会による移転反対デモ。台風24号が接近する中、一般消費者を含めた約300名が、築地市場正門から新橋駅前、農林水産省前を通って日比谷公園まで行進しました。
21世紀の水産を考える会からも3名が参加し、土壌汚染が解決しないまま、豊洲市場が認可されたことに抗議。「豊洲市場では食の安全が確保されない」と訴えました。都知事による今回の安全宣言は、以前、安倍首相がオリンピック誘致の際、「原発事故による汚染はアンダーコントロール」と言ったのと同様の手口で、まったく信用できません。
2018年9月20日、21世紀の水産を考える会はJCFU全国沿岸漁民連絡協議会と共催で、フォーラム「水産庁『漁業制度改革』の問題点をさぐる」を行いました。
司会の二平章氏(JCFU事務局長)は冒頭、「国連は家族漁業を含めた家族農業が世界を救うと『家族農業10年』をスタートさせた。日本は家族漁業が94%を占めるのが現状だが、水産庁の進める政策は国連と真逆の方向だ」と強調しました。
改革案の問題の一つは、いままで漁協に付与してきた養殖業を営む権利を、成長産業化を口実に企業にも付与し、輸出目的の養殖業の振興を図ろうとしていることです。
長谷川健二氏(福井県立大学名誉教授)はこの点ついて、「規制改革推進会議が働きかけ、新自由主義的発想が色濃く出ている。養殖の新たな区画の設定のために漁場を空けろということで、大型化推進は零細経営の切り捨てだ」と批判しました。
続いて濱本俊策氏(香川海区漁業調整委員会会長)は、「従来の県単位の漁業者・漁協中心から、全てを国がリードする方向性が示された。漁業調整委員の選考についても、公選制を廃止し、戦後の民主的な漁業制度を改悪しようとしている。浜の秩序が崩壊しかねない」と、漁業者が結束して反対する必要性を訴えました。
改革の名に値しない今回の法案は、秋の臨時国会の議案となる見通しですが、議員の多くは、特に問題だとは感じていないという話で、審議の行方が心配されます。
21世紀の水産を考える会は、JCFU全国沿岸漁民連絡協議会と共催し、2018年6月11日に衆議院議員会館会議室において、緊急フォーラム「クロマグロ漁獲規制の問題点」を開催するとともに、6月25日に実施された「全国沿岸クロマグロ漁民共同行動」に全面協力いたしました。
コトの発端は、水産庁が沿岸クロマグロ漁民や関係
漁協に事前に一切説明することなく、クロマグロTAC
配分案を突然発表。しかも30日間行うべきパブリックコメントを7日間に短縮した上、漁業者の同意も得な
いまま7月からのTAC制度移行を強引に押し進めようとしたことにあります。
水産庁が発表したTAC配分案は、数十隻しかない大中型巻き網には手厚く、2万隻近くもある沿岸漁業には僅かなものでした。大中型巻き網は、日本海で動きの鈍い産卵期の魚群を狙って一網打尽にするもので、資源保護の点からも大問題です。
6月25日の全国統一行動では、青森県大間をはじめ、全国28地区、約650名の沿岸漁業者がやむにやまれぬ思いから農林水産省の前に結集。「漁獲配分を見直せ!」「産卵期のマグロを獲るな!」との悲痛な叫びを上げました。水産庁は後日、沿岸漁業の親魚に373トンの上乗せを発表しましたが、資源管理のあり方が根本から問われるところです。
2018年6月23日、21世紀の水産を考える会2018年度総会のあとの記念講演は、高知県・明神水産㈱の元会長の明神照男氏にお願いしました。実際の漁業現場の経験にもとづいた大変興味深いお話しを以下、要約いたします。
「昭和26年に中学校を出て5トン位の焼玉エンジンの船に乗って炊事当番をやったのが漁師のはじまりで、53年まで船に乗りました。土佐沖では4月にカツオ漁が始まり、10月になるとソーダカツオが始まります。土佐湾は西に足摺岬があって東に室戸岬があって、その間に大きい川、小さい川が62あります。以前は栄養分の多い水が土佐湾に流れていたと思います。黒潮は足摺岬に当たるから沖に跳ね、室戸岬に当たる。それも沖に跳ねるから、室戸と足摺の間に潮の壁があったのではないでしょうか。それで山から流れてきた栄養分があまり沖に出ずに、土佐湾にたまっていたので、皆さんがご存知のシラス、シラスが多いからカタクチイワシ、マイワシが多く、イワシが多いからカツオにしてもクジラにしても、もう海いっぱいという感じになっていたのでしょう。
ところがカツオは群れがだんだん小さくなってきて、土佐沖のカツオだけではご飯が食べられなくなってきました。ソーダガツオにしても、どんどん獲れなくなってきて、この2~3年、節の入札が止まっていたようです。私は近海のカツオ一本釣りの操業はもう終わりじゃないだろうかという思いを持っております。というのは、漁師はカツオは生きたエサでないと釣れないという考え方をしておりますが、そのイワシが関東の館山の湾から鹿児島湾まで獲れなくなってきました。よく漁船漁業では、燃油が高くなったからそれが一番大変だと言われるように、カツオに関してはエサのイワシが命取りになります。私はカツオが少なくなっている大きな問題は、海がイワシを育てることができない海になってきて、それでイワシがいないからカツオも回遊が少なくなってきているのではないかと思います。
私が思うその原因の一つは、原子力発電所から放流される冷却排水の問題。例えば四国の伊方原発は、計算してみると、一昼夜に1千万トンの海水を冷却に使っていて、その排水の温度は60度から70度くらいになっていると思います。さらにカキとか海苔などが付かないように1日に3トンもの塩素を使っていると聞いています。私が知っているかぎり、いまの土佐湾は鹿児島から千葉県の犬吠までの太平洋沿岸の中で一番汚い海です。先ほど述べたような潮の壁があることで、汚いものが沖に流れないで、溜まっているのではないかと思います。
それから、カツオ漁船の過剰設備も問題です。カツオの群れを見つけるのに、昔は3万円の双眼鏡で済みました。いまは3千万円、4千万円のソナーを使いますが、カツオの値段は一緒です。「獲ったもん勝ち」のいまの日本の漁業の仕組みでは、採算が取れないと分かっていても過剰な投資せざるを得ないのです。
去年から今年にかけて、政府の規制改革推進会議や日経調の高木委員会が色々な提言をして頂いてありがたいことだと思います。ただ問題はそのもとにある海がどうなっているか、魚がどうなっているかということにも取り組んでいただかないと、なかなか日本の漁船漁業は元気にならないのではないかというように思います」。